ルーズリーフ(at HatenaBlog)

はてなダイアリーから移行しました。きままに感想を書きます。

フェノメノ陸読了。(但し発売時に読んでるので再読感想。)

※ネタバレ全開なので読了後に読むことを勧めます。

フェノメノ 陸 (星海社FICTIONS)

フェノメノ 陸 (星海社FICTIONS)

フェノメノ陸 美鶴木夜石は微笑まない』
2012年から始まった『フェノメノ』シリーズの完結巻。
伍のナニモナイ人間から一年近く待ち焦がれたものの、読み進めていくうちに読み終わるのが本当に惜しくなった。
6巻の構成としては全3章+終章(エピローグ)。
前章は後章への積み重ねで、前巻で亡くなった鴉さんの法事からスタートするわけなのだけどあの挿絵で読んでる空気としても悲しんでいいやら笑っていいやらでわからなくなったという…
夜石の名前も姿も認識できなくなった夜石のシーンで夜石をナギくんが認識したシーンは心が暖かくなったんだけど

最後の『続・不安館』は…伍の『不安館』での事件の決着と常夜石との決着を図るというわけだけど…
家族が彌子を守るという幻影のシーンも良かった、彌子の慟哭のシーンも良かった
彼岸を深く知ってしまった彌子は結局彼岸に行ってしまったということなんだけど
ナギくんと彌子二人で幸せな未来を歩んでもらいたかったなあ。
冒頭で滝田も『常夜石』の因縁を持っていてそれも悲惨だっていうのが辛かった、
過去を背負い覚悟を持って挑みカッコ良かった滝田佐居も死んでしまったし、あまりにも大きな犠牲を払ってのこの結末はほんの一匙の救いにすぎないのが辛い。
いや常夜石に挑んでそれだけの結果を得たのだけでも儲けものという考え方もあると思うけれども…。
でも結末は凄い綺麗で爽やかで素晴らしかった。でも寂しい。
最後のイラストを見た後表紙を広げて長時間眺めた。

幽式 (ガガガ文庫)

幽式 (ガガガ文庫)

『幽式』では時央くんとユイが騒動に巻き込まれつつも幸せな未来も暗示されてたんで尚更。
メディア展開がこれからもあるなら別媒体では二人が幸せに過ごしている姿も見てみたいなあ。

これからはクリシュナさんとナギくんが二人で『異界ヶ縁』の運営に携わることになると思うけど、クリシュナさんの治療は誰が担うんだろ。
結構大変なことだと思うけどね付き合うことに付き合うことになるのかなあ。
気になったのが先輩の『篁亜矢名』と異母妹の『高村』の扱いが荒いっててことかなあ。スピンオフやってもいいと思う。

表紙含めて今巻のイラストも本当に素晴らしかった。挿絵の全4枚甲乙つけがたいが、しいて言えば、挿絵の中慟哭の彌子とナギくんのシーンの挿絵がぐっときた。
物語の集大成でナギくんが足掻いて救ったという象徴の一つだと思う。もうひとつは表紙の彌子の笑顔。
ついでにあとがきの初期デザインの夜石のイラストの可愛さは半端なかった、一肇先生がお守りにするのもわかる。
フェノメノ』シリーズ通して安倍吉俊先生のイラストは素晴らしかった。画集が出た際には買うと思う。

読後の結論としては素晴らしい作品だった。一肇先生の力は『フェノメノ』シリーズを経て劇的に筆力が向上したと思う。
『桜ish-推定魔法少女-』も個人的に大好きな作品だが比較すると読みやすさと没入感が半端なく向上している。
今後にも先生の活躍期待したい。

ジャーロ 54号 夏号 (光文社ブックス)

ジャーロ 54号 夏号 (光文社ブックス)

ジャーロVol.54夏号の綾辻行人×一肇対談によれば、ノベライズ版はオリジナルストーリーっぽい『僕だけがいない街』のノベライズを担当してから、
黙視論のリライトに取り掛かるとのこと。僕街は今年後半に出るだろうし、黙視論は来年早期に出るといいなあ。
綾辻さんからは特殊設定のない現実ベースの本格ミステリ作品を一肇先生にリクエストされてたが、先生もクローズド・サークルもの好きだそうでいずれ実現しそうだ。