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スニーカー文庫25周年記念アンソロジー「S WHITE」、実質谷川流新作短編「Round-Trip」感想

結局は谷川流の「Round-Trip」しかちゃんと読んでいなかったりする。イラストは涼宮ハルヒシリーズでお馴染みのいとうのいぢ。といっても話の内容は涼宮ハルヒシリーズとは無関係の新作短編。「Round-Trip」とは日本語訳で「往復」の意味である。

とある高校で学内や学外から持ち込まれる議題について結論を出す会議部というべき部活の部長と副部長が議事録を職員室と部室を往復する間までの会話劇の物語となっている。部長(男性)や副部長(女性)は容姿端麗、成績優秀でかつ2人とも無口であり、先生や部員からは2人は清く付き合っていると解釈されていたが、本人たちは別に好きな人がおり付き合っていないと考えている。その周囲の誤解を解こうという思考実験から物語は開始している。

アニメイトでの特典のコメント集で谷川氏は「できるだけ情報量を落とした」と言っていたとおり、作品中の人物に固有の名前は登場せず、役職名やある男子部員、ある女子部員と一般名詞で呼称。

結論から言えば、良質なジュブナイル小説で面白かった。ちゃんと恋愛小説になってると思う最後部長と副部長は付き合ったと自分は解釈。部長・副部長が結論に至った時に互いに向かい合って微笑をした姿を部員に見られた時、2人は顔が真っ赤になったんじゃないかなと解釈。会議する場所に困らなくなったというのは部長か副部長の家で会議の打ち合わせをしているか、
もしくは付き合ったことでやましいことはなく羞恥心など気にならなくなり堂々と構えるようになったからのどちらかだろう。

部長・副部長の微笑が描かれているラスト前の部長と副部長のいとうのいぢによる挿絵も秀逸。副部長が可愛い。しかし胸がでかい。口絵といい制服が涼宮ハルヒの消失の光陽園学園の制服に酷似してるのもいい妄想をかきたてる。

今までの作品からすると新境地になるものの話の掛け合いも知性を感じながらも面白いかつ読みやすかったし作家・谷川流の才能は全くもって枯れていないと思う。少なくともアンソロジー中一番おもしろかった。谷川流の作品傾向としては学校を出よう!シリーズに近いかな。涼宮ハルヒシリーズの長編新作も出して欲しいですが、学校を出よう!の新刊もまってます。

谷川流作品で結構おすすめだと個人的に思ってる。